祈りの構造

人は困難に直面したとき、つらいとき、心の奥の奥の奥のほうから、小さくて、柔らかくて、あったかい物を引っ張り出してきて、それをいつくしみ、それにやさしく触れようとする。




そしてそれにしばらく触れていると、気分がいくらか和らぎ始めて、そこから再び困難に立ち向かう活力を得ることができる。



ただ、この行為は万人がうまくできるものじゃない。またこれを教えてくれる人はあまりいない。




だから人々は「神」をつくり、「宗教」という体系をつくり、もっと普通の人でも簡単にできるようにした。それを簡単な言葉でいうと「神に祈る」ということになる。




巷にはいろいろな宗教があるけれど、根源は同じだ。自分の心の奥底にある小さなあったかいものを大切にすることなのだ。



その構造がわかると、宗教そのものにはあまり重要性を感じなくなる。だから私は特定の宗教には属していない。
私は、自分自身を「無神論者」ではなく「全神論者」だと思っている。