禁じられた航路 La ruta prohibida

HiroshiMatsushima2008-01-26




この本は、世界史(おもに西洋史)の謎の部分にスポットをあてて諸説を紹介している本です。



タイトルにある禁じられた航路とは、1492年のコロンブスの新大陸発見についてなんですけど、歴史をちょっとでもかじったことがある人なら、コロンブスの数世紀前にバイキングがグリーンランド経由でアメリカ大陸にいっていたことは知っているから、それほど新しい内容ではないです。



ただ、ここではさらにコロンブスが当時の教皇イノセンス8世の庶子だったという仮説を紹介して、どうして当時ローマ教会が1492年の発見にあえてこだわったかについて話を展開しています。彼が発見したキューバ(Cuba)はその教皇の俗世の名前であるCyboに由来するなんて話もでてきます。


これは本には書いてなかったけど、バイキングがアメリカ大陸にはいったときに原住民の激しい攻撃にあって撤退した話はとっくにローマ教皇に報告書としてあがっていたわけですからね。いろいろと推理してみると楽しい。



そのほか、キリストの逸話とエジプト神話の酷似、福音書とエジプトの書物の内容の酷似に着目し、さらにもっとも古いキリスト教の文献がキリスト死後100年より前には存在しないことから、キリスト教はエジプトのユダヤ教の一派が作り上げたものであるという説。



ナポレオンをはじめとして、フランスがなぜエジプトにこだわるのかという歴史的背景についてもなかなかおもしろいです。この話を読むとルーブル美術館の入り口にピラミッド型のモニュメントが置かれている理由もなんとなくわかります。



さらにダビンチの最後の晩餐や、ベラスケスのラス・メニーナスなどの絵画に隠された星座の暗号についてなど、さまざまな話がつめこまれてます。



作者自身の考察はほとんどないため、掘り下げはムチャクチャ甘いですけど、裏世界史の入門書としては楽しめます。