世界最速の演奏?
ベートーヴェンの交響曲第7番の第四楽章といえば、かつて「のだめカンタービレ」で使われて、かなりポピュラーになった音楽ですね。
実際にその時期、東京のすべての楽器屋からこの曲のスコア(総譜)が消えてしまったくらいだから、テレビの影響おそるべしです。
さて、この交響曲第7番第四楽章は、ゆったり、まったり、じっくり、やられてもおもしろくもなんともないですから、私はとにかく速い演奏を好んで聞いています。
カルロス・クライバーの演奏でも8分36秒かかっていますけど、これは体感的にはかなり速く感じる演奏のひとつですね。
しかし、絶対的な速さと体感的な速さを併せ持つといえば、カラヤンとベルリン・フィルによる70年代の録音です。
なんといっても、演奏時間が6分36秒。7分をきっているというんだから、すごい。
たぶん、このスピードだと「のだめカンタービレ」の最終回でやっていた「コントラバス回し」は不可能です。
このスピードとグルーブ感、ビート感はそんじょそこいらのへヴィメタル・バンドにだって負けないくらい、ぶっ飛んでいる演奏ですわ。
元気をだしたいときには、これ一本です。
ところで最近、デュダメルという若手指揮者がドイツ・グラモフォンで録音した演奏で、この曲を6分14秒というこれまた恐ろしい最速なものがあることを知りました。
早速入手して聞いてみたんですけど・・・・
どうもオケが南米の若手演奏家を集めた即席集団ということもあるんでしょうけど・・・
速く演奏しようとあせるあまりに、リズムが前につんのめっているんです。
一小節の中の最後の音符の扱いがものすごく雑・・・。
一個一個の音をきちんと出していないから、リズムが上滑りしてるし・・・・
ビオラあたりの内声部のアンサンブルが雑だから、これまた音がにごってるし・・・・
かと思うと、妙なところでバイオリンに変なルバートかけさせてしまうし・・・
早い話がこの演奏、ストップウォッチ的には最速かもしれませんけど、演奏になってません。
カップリングされているベートーヴェン第5交響曲でも最終楽章でミキシングの問題なのか妙なバランスの音がなってたりして・・・・
まあ、指揮者が悪いんだか、オケが悪いんだかわからないけど、こんな演奏を発売したグラモフォンさんの度胸ってすごいと思いました。
この人、注目の新人らしいけど・・・・
あと、40年くらいしたらまた彼の演奏を聴くかもしれません。
それにしても、クラシック音楽界の人材難は深刻ですな〜。